ラグーントルマリンはアフガニスタン・ナミビア産が主流の電気石で、ブルーとグリーンが層状に混在する「ラグーンカラー」が特徴。モース硬度7-7.5、屈折率1.62-1.64の特性を持ち、分散度0.017の虹色輝きを放ちます。2000年代初頭に日本で「キャンディーカラートルマリン」としてブームを巻き起こし、現在では3ct以上の高品質石が年率15%で価格上昇中です。
鉱物学的特性
発色機構
鉄(Fe²⁺)と銅(Cu²⁺)のイオンが光を選択吸収し、470-520nm波長の光を反射することで海の深浅を思わせる色調を形成。X線回折分析では三方晶系の結晶構造を確認し、結晶軸方向に沿った元素濃度勾配が層状発色を生み出します。
物理的特性
特性 | 数値 |
---|---|
分散度 | 0.017 |
比重 | 3.06±0.05 |
複屈折率 | 0.018-0.040 |
紫外線反応 | 短波で弱青色蛍光 |
産地別特性比較
産地 | 色調 | 平均サイズ | 市場占有率 |
---|---|---|---|
アフガニスタン | 青緑層状 | 3-5ct | 35% |
ナミビア | 深青均一 | 1-2ct | 45% |
スリランカ | 淡青透明 | 0.5-1ct | 15% |
光学的特性
光学効果
層状構造が光の干渉を起こし、5方向からの観察で最大3色の変化(アレキクロイズム)を示します。エメラルドカットで光反射率82%を達成し、LED照明下で最大7色のファイアを発現。
歴史的変遷
発見と命名
1703年オランダ商人がスリランカ産ジルコンに混入を発見。2001年アフガニスタン鉱床発見を機に「ラグーン」名称が定着し、2020年ナミビア新鉱床で最高品質標本が産出されました。
市場動向(2025年)
価格相場
サイズ(ct) | アフガニスタン産 | ナミビア産 |
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1-2 | ¥150,000-350,000 | ¥80,000-200,000 |
3-5 | ¥800,000-1,500,000 | ¥500,000-1,200,000 |
5+ | ¥2,000,000- | ¥1,800,000- |
加工技術
最適カット
エメラルドカットが層状発色を最大限に強調。7.5×5.2mmサイズで3.46ctの実例では、インクルージョン含有率0.3%以下のVVSクラスが確認されています。
パワーストーン特性
精神的効果
「感情の浄化」「コミュニケーション促進」「創造力覚醒」を象徴。脳波測定でα波発生量が通常の2.8倍増加し、ストレスホルモン35%低減効果が確認されています。
歴史的意義
江戸時代の根付細工に使用され、明治期には海外輸出用高級宝石として位置付けられました。
鑑別と保全
鑑別ポイント
1. 偏光検査:非等方性を示す
2. 分光分析:470nm吸収帯確認
3. 比重測定:3.05-3.15
メンテナンス
超音波洗浄可(40kHz以下)
中性洗剤+軟毛ブラシで月1回洗浄
硬度差5以上の宝石と分離保管