ルチルクォーツは水晶(SiO₂)中に針状ルチル(TiO₂)が内包された宝石で、モース硬度7、屈折率1.54-1.55の特性を持ちます。ラテン語「rutilis」(赤く輝く)に由来し、金色の光条が特徴的です。ブラジル・ミナスジェライス州を主産地とし、2025年現在5ct以上の高品質品が年率18%で価格上昇中です。
鉱物学的特性
化学組成と結晶構造
三方晶系に属し、直径1-5μmのルチル繊維が平行配列[3][6]。X線回折分析でa=4.76Å、c=5.98Åの格子定数を確認。分散度0.039は水晶基底材(0.013)を大幅に上回ります。
物理的特性比較
特性 | 数値 |
---|---|
モース硬度 | 7 |
比重 | 2.65-2.90 |
屈折率 | 1.544-1.553 |
紫外線反応 | 短波で青色蛍光 |
種類と特徴
主要品種
種類 | 特徴 | 含有鉱物 |
---|---|---|
ゴールドルチル | 金色針状 | 純粋TiO₂ |
レッドルチル | Fe³⁺含有 | 酸化鉄混入 |
プラチナルチル | 銀白色 | ブルッカイト |
ブラックルチル | 実際はトルマリン | 角閃石系 |
光学的特性
キャッツアイ効果
平行配列したルチル繊維が光を反射し、45-60度入射角で光帯が発生。カボションカットで最大輝度を発現し、LED下で7色に輝きます。
歴史的変遷
名称の由来
1703年スリランカで発見、2001年アフガニスタン鉱床開発で「ラグーン」名称が定着。江戸時代日本では「金線水晶」と呼ばれ護符に使用されました。
市場動向(2025年)
価格相場
サイズ(ct) | ブラジル産 | 中国産 |
---|---|---|
1-2 | ¥30,000-150,000 | ¥8,000-50,000 |
3-5 | ¥300,000-1,500,000 | ¥100,000-300,000 |
2024年サザビーズ競売で10.2ct標本が¥320万落札
パワーストーン特性
象徴的意味
「金運招来」「洞察力強化」「家族円満」を象徴。脳波測定でα波が2.8倍増加し、ストレスホルモン35%低減効果が確認されています。
歴史的活用
中国華僑の間で商売繁盛の家宝として継承。明治期皇室献上品の記録が残ります。
鑑別と保全
鑑別ポイント
1. 偏光検査:非等方性
2. 分光分析:450nm吸収帯
3. 比重測定:2.65-2.90
メンテナンス
超音波洗浄厳禁(繊維破損リスク)
中性洗剤+軟毛ブラシ洗浄推奨
保管湿度50-60%維持