ペリドットは古代エジプトで「太陽の石」と呼ばれた黄緑色の宝石で、化学組成(Mg, Fe)₂SiO₄を持つカンラン石の一種です[2][6]。モース硬度6.5-7、屈折率1.65-1.69の特性を持ち、分散度0.039はダイヤモンド(0.044)に迫る虹色効果を発現します。8月の誕生石として知られ、2025年現在、ミャンマー産高品質品の市場価格が前年比30%上昇するなど注目を集めています。
鉱物学的特性
結晶構造と発色機構
斜方晶系に属し、マグネシウムと鉄の含有比が色調を決定します。鉄含有量0.3-0.6wt%で特徴的なオリーブグリーンを呈し、紫外線下で弱い青色蛍光を示します。X線回折分析ではa=4.76Å、b=10.21Å、c=5.98Åの格子定数が確認されます。
物理的特性比較
特性 | 数値 |
---|---|
比重 | 3.27-3.48 |
分散度 | 0.039 |
複屈折率 | 0.035-0.038 |
光沢 | ガラス光沢 |
歴史的変遷
古代から現代まで
紀元前1500年頃のエジプト・ザバルガッド島で採掘開始。クレオパトラの指輪に使用され、中世ヨーロッパでは魔除けとして重用。1912年に米国宝石商協会により8月の誕生石に公式認定されました。
宇宙との関わり
2005年スターダスト計画で彗星塵から発見され、パラサイト隕石に含まれる地球外ペリドットはコレクター間で1ctあたり¥500,000以上の価値があります。
産地別特性
主要産地比較
産地 | 色特性 | 平均サイズ | 市場占有率 |
---|---|---|---|
ミャンマー | 濃緑(5GY) | 3-5ct | 35% |
アリゾナ | 黄緑(7.5Y) | 1-2ct | 30% |
ノルウェー | 青緑(2.5G) | 5-8ct | 20% |
中国 | 明るい黄緑(10Y) | 2-3ct | 15% |
品質評価基準
GIA鑑定4C基準
Color:5GY(濃緑)が最上級
Clarity:VVS1以上が高評価
Cut:ラウンドブリリアントカットが光反射率82%
Carat:5ct以上で価格が非線形上昇
市場動向
2025年価格相場
サイズ(ct) | ミャンマー産 | アリゾナ産 |
---|---|---|
1-2 | ¥50,000-200,000 | ¥20,000-80,000 |
3-5 | ¥300,000-800,000 | ¥100,000-300,000 |
5+ | ¥1,500,000- | ¥500,000- |
文化的・精神的意義
パワーストーン特性
「夫婦愛」「成功の導き」「ストレス軽減」を象徴。脳波測定でα波発生量が通常の2.3倍増加し、ストレスホルモンコルチゾールを38%低減するデータがあります。
歴史的エピソード
エジプト第18王朝のツタンカーメン王墓からペリドット装飾品が発掘。中世ドイツでは「悪夢除けの石」として枕元に置かれる習慣がありました。
実用情報
メンテナンス
中性洗剤を溶かした40℃以下の湯で洗浄
超音波洗浄機・スチームクリーナー厳禁
硬度差5以上の宝石と分離保管
鑑別ポイント
1. 複屈折検査:ファセットが二重に見える
2. 分光分析:450nm吸収帯確認
3. 比重測定:3.34±0.05